予約システム考

予約システムに関するあれこれ

◆はじめに
「予約システム」― をネットで検索をするとたくさんの情報を見ることが出来ます。
飲食系、美容系、宿泊系などいろいろな分野の予約システムが存在しています。
医療系に絞って検索してもかなりのヒット数です。この10年で随分と種類も増えて参りました。
…実は消えていった予約システムも幾つもあります。
そんな状況でたくさんの選択肢の中から自院に適した予約システムを見つけるのはかなり難しい作業になります。

予約システムは一度、導入すると簡単にやめたり、違う製品に切り替えることは困難。
慎重に考えてどのシステムにするか総合的に判断、決定していくことが重要です。
導入には幾つかのポイントがあります。このページが何かの参考になれば幸いで御座います。

予約システムを使うのは誰?

◆忘れがちなこと
最初に申し上げておきますが予約システムの 導入を決定 するのは院長です。
しかし日々 、操作するのはスタッフ であり 患者さま であり、院長ではありません。
予約システムの決定は現場と患者さまに近い受付スタッフの声が一番大切です。

・開業支援会社に勧められたから…
・あの先生が使っているから…
・この製品が値段が一番安そうだから…

安易な選択で後悔をしないようにしたいものです。
受付スタッフは使いにくいシステムを仕方なく文句も言わず使っているかも知れません。
受付スタッフの意見にぜひ耳を傾けてあげてください。

予約システム検討時の留意点

◆システム提供会社に期待すること
「初回相談」「提案」から「導入」そして「導入後」も継続して信頼・相談できる会社であることは最低条件です。
いまや予約システムは単なる「患者サービス」の範疇を超えて「医療経営」に直結する重要なツールです。
「待ち時間対策」が整備されていて便利で通いやすいかどうかは医療機関選択基準のひとつです。
運用がうまくいくか否かで患者定着率や新規患者獲得に大きく影響します。
販売会社の担当者はスタッフの動きや診療の流れ、科ごとの特徴・特性、そして医療経営にも詳しくあるべきです。
システムの操作説明に留まらず最適な運用方法の提案、導入後のフォローについても綿密に詰め合う責務があると思っています。
デモンストレーションに来ても製品説明と使い方の説明で終始するだけでは心もとないです。
「販売業者」 か 「パートナーとなりえる相手」  か — 先生はどちらと付き合いますか?

◆医療業界に詳しい会社か否か
どのようなシステム会社が作った予約システムか…も検討事項です。
病院や医院の待ち時間の現実・現状・現場をあまりご存じない会社が「こんな感じだろう」と作ったシステムも散見されます。
実際の現場では医療機関ならではの予期せぬ事態が発生するのが常です。
「このような事態になった時は、どのようにして対処したら良いのでしょう」とレアケースを尋ねた時に
「そういう場合はこうすることで対応できます」と速やかに返答できるスキルが欲しいです。

◆開発会社の体力
開発会社の体力も重要。
今まで医療機関向けの予約システムをたくさん見てきました。
残念なことではありますが、消えていったシステムも知っています。
ある会社様が開発した予約システムを導入されていた医療機関がありました。
ある時、その会社様が倒産されたとかで急遽、弊社の予約システムを導入したいと連絡を受けた事があります。
医療機関さまも災難でしたが最も災難を被ったのは「患者さま」です。
突然、今までのやり方を変えなければならなくなったのです。
会社の体力(規模・システム販売年数)も重要です。

またどこのサーバーにシステムを置いているかも確認しておくことを勧めます。
脆弱なレンタルサーバーを利用されている場合、時にサーバーがダウンし大きな被害を受ける事があります。

◆予約システムに望む機能は
「自院が望む体制を構築できる予約システムを探していますか?」―。
自院が目指す体制にはどのようなタイプでどのような機能が必要かを考えます。
なくてはならない機能、あれば便利な機能、あまり必要がない機能、無くても良い機能があります。
Keywordは「覚えることが少ないシステム=操作がシンプルであること」です。

◆同じ予約タイプでも操作手順は異なります
予約のタイプは「順番予約」「時間予約」「併用可能タイプ」等があります。
同じ予約タイプと言えどシステム(メーカー)によって操作方法、操作手順は大きく異なります。
患者さまの予約から受診まで、スタッフはほとんど何もしなくてもよいシステムもあれば、
数回にわたるマウスのクリックを必要とするシステムもあります。
冒頭にも書きましたが、最終的に駆使して操作をするのは受付スタッフです。
簡単でシンプル操作のシステムを提供してあげてはいかがでしょうか。
幾つかの商品を比較する必要が
あるという理由です。
すべての予約システムは「操作はカンタン」と謳いますが実際に比べるとそれぞれ違いが見えてきます。
患者さまはいかにカンタンに予約ができて、スタッフはいかに少ない手順で望む体制を実現できるかが鍵です。
毎日使う職員が使い勝手に不満を感じたり不便を感じてしまっては意味がないのです。

◆機能の充実とは…
沢山の機能が自慢の予約システムもあるようですが実際に現場で必要とされている機能でしょうか。
それはどれほどの利用頻度がある機能でしょうか。
いろんな機能が搭載されていても受付の方の操作が面倒だったり、複雑で使いこなすのが大変だったり…では本末転倒。
出来るだけ少ない操作(クリック)で期待する効果を得られるか…が最優先ですし、
それが医療機関、しいては患者さま思いのシステムと言えるでしょう。
患者さまの操作は簡単だけどスタッフの手間が多いとか、その逆だったり…では便利とは言い難いです。

弊社システムは「あれ」も「これ」も「それ」もできます!
…導入してみたら実際にはほとんど現場では使う機会がなかったりすることもあります。

◆価格・料金について
価格は概ね「初期費用」「月額利用料」「必要機器」などに分類されます。

各社それぞれ試算のもと「初期費用」や「月額利用料」を算出しています。
予約システムは高額な製品から、驚くほど低価格(ほとんど無料)の製品まで千差万別。

機能と有益性、サポート体制や今後の可能性を価格と照らし合わせて検討されるとよいでしょう。
ただ予約システムを探す時に「価格優先」で選ぶことは避けるべきです。
価格優先から探し始めると大切な「望む診療体制」や「患者さま」が遠くなります。

自院の都合から選択を始めてしまっているからです。
まずは「自院の待ち時間を改善できるシステム」を見付けるところからスタートです。
そのうえで「費用に見合う価値があるかどうか」を考えていくのが正しい手順です。

◆サポート
最初の問合せから運用相談、デモンストレーション、導入決定時、利用開始後、
すべてのステージにサポート(言い方を変えれば “相談相手” )は必要です。
操作のテクニカルな疑問解消から医療経営のコンサルテーション的側面まで対応してくれる
サポート(販売会社またはその営業マン)の存在はとても心強いです。
気軽に相談できる相手がいてくれることは大きな安心。

新規導入したはいいものの充分なサポートが得られず苦労している医療機関を知っています。
使い方はカンタンでサポート要らずと謳っていても必ず疑問・質問は発生します。

「24時間365日のサポート体制」が優れたサポートとは言い切れません。
だからといって「カンタンなシステムなのでサポートはメールだけで」というのも
はなはだ疑問と言わざるを得ません。

また初回のデモンストレーションの時も含め、その後のフォロー(現場)が必要な時は、別途
出張旅費をいただきます…という会社もあるようです。
はじめに、そのあたりも確認しておくとよいでしょう。

◆どちらが近づくのか
適当なシステムが見つかった場合、そのまま使えることが一番良いのですが、診療体制は医療機関により
様々なのでやはり「ここがこうだったら…」「こうならないのか?」という要望が出てきます。

ある程度のカスタマイズが可能なシステムなのか?
パッケージになっていて手を加えることができないのか?

費用の件は別として長く利用するものであればこそ自院に合う形にカスタマイズができれば好都合です。
「個別のカスタマイズには対応できません。だからこの低価格なのです」と言う事があるかも知れません。
納得のいかないところがあるまま妥協して予約システムを導入すると後悔することが多いのも事実。
予約システムに合わせなければならないのか、予約システムが近づいて来るのか―は大きな違い。
カスタマイズや少し作り込みをすることで最適なシステムに変貌することも多々あります。

その可能性を模索、確認することも大切です。
開発会社にそのあたりの事も聞いておくとよいでしょう。

◆ホームページの導入件数は?
予約システムを探すにあたり頼りになるのはホームページです。
沢山の情報が盛り込まれています。
私がそのなかである程度、重要視しているのは「導入件数」です。
「導入件数」の数は製品の信頼度と使い勝手の良さとサポートの良さと商品への熱意のバロメーターと考えています。
よって予約システム会社はホームページに導入件数を掲載すべきと思うのです。
正直な件数表示のシステム会社には好感が持てます。
逆に「全国各地に多数の導入実績あり」のような表現ではどうも疑いの心を持ってしまいます。
出来れば正直に導入件数、可能ならば実医療機関名まで載っているシステムが好ましいです。

「当院の近くでは、どこの医療機関に導入されていますか?」と聞いてみることは何ら問題は無いと思います。

ほんの10年ほど前のお話です

私が予約システムを自ら開発し、まだまだ暗中模索でコツコツと営業活動をしていた
今からほんの10年ほど前の事です。

ある地方の混雑して有名な耳鼻咽喉科クリニックへ予約システムを紹介に伺いました。
事務長へ予約システムの有益性などをお話をしましたが…
「柳田さん。待合室はサロンなんです。近所の方たちが集まり語りながら診察を待ついう
役割があるのです。あえて待ち時間を短くする必要な無いと思っています」

やはり混雑する皮膚科のクリニックを訪問した時には…
「混んでいる医院のほうが“医者の腕がいい”という証明になるのです。
予約システムを導入して待合室がスカスカだったら腕が悪いと思われてしまうよ。
窓越しに患者で溢れているのが見えるくらいがいいんだよ」

ある産婦人科の医師とのお話しの中で…
「予約システムに利用料などの経費をかける意味なんてあるのかなぁ。
その費用はクリニックの持ち出しですよね。
予約システム自体が利益を生む訳では無いですからね」
その考えでいくと「院内の掃除」も「清潔なスリッパ」も待合室の「雑誌」も「新聞」も
「無料の水」も「エアコン」もいっさい利益は生み出しません。

ほんの10年ほど前はこのようなご意見がまだまだ主流でした。
予約システムも1台50万円から200万円近くするものまでありました。

時代はあっという間に変わります。
現在は予約システムが導入されているのはごく自然な事です。
患者さまもその便利さの恩恵を感じながら治療と向き合っています。

決断するということ

予約システムに関する私の意見を書き連ねました。

待ち時間環境を良くして患者サービス、患者満足度のレベルを上げて経営の目的である
粗利益を確保しやすい医療機関にするかどうかは最後は院長次第です。

「利益は患者さまが診療行為に対して費用を支払った時にのみ発生する」という
経営の大原則を忘れないことです。
つまりたくさんの患者が来てくれることが「粗利益確保」の原則。

どの医療機関にかかるかという決定権は
患者さまが100% 医療機関側は0%。

待ち時間対策をするかしないかの決定権は
医療機関側100% 患者さま側は0%。

どのような医療機関になりますか?
最後の決断は院長です。柳田がお手伝い致します。